夫婦の共依存「夫には私がいないとダメなの」と思う人は要注意
夫婦の共依存と聞くとDV関係やアルコール依存症などを思い浮かべますが、
「夫は私がいないと何もできない」
「夫以外に私を愛してくれる人はいない」
「夫の幸せは私の幸せ」
という一見ありがちな考え方をしている夫婦でも共依存関係にある場合があります。
当てはまる人は夫婦のあり方を少し考えたほうがいいですよ。
Contents
夫婦の共依存とは
共依存とは、ある特定の相手との関係性に過剰に依存し、その関係性にとらわれている嗜癖状態のことです。
依存する人は相手に世話してもらうことに依存しており、自発的に自立しようとしません。共依存者は相手を世話し、頼りにされることで自分の存在価値を見出しており、相手の自立を促そうとはせず、無意識にその関係が続くように行動します。
共依存は「愛情という名の支配」とも言われています。
わかりやすく言えば、例えば「DV夫から離れようとしない妻」が典型的です。
- 妻・・・依存する人。DV夫でも自分を養ってくれている。自立はできないと思っている。
- DV夫・・・共依存者。暴力で妻を支配することで自分の存在価値を見出している。服従の関係を維持しようとする。
あとは、アルコール依存症の夫の世話をすることで、自分の存在価値を見出す妻というのも共依存の関係です。
- アルコール依存症の夫・・・依存する人。酒におぼれても妻が世話をしてくれる。自分で何とかしようとしない。
- 妻・・・共依存者。夫が酒を断つと世話をする自分の価値が失われるので、酒を断たせることはしない。
この場合アルコール依存症の「依存」は共依存と関係ないです。念のため。
要するに間違った愛情でお互いの存在価値を確認し合っているという状態です。
共依存度診断チェック
まずはあなたが共依存しやすいかどうかをチェックしてみましょう。できれば夫婦でチェックするといいですよ。
以下の質問で「YES」の数を数えてください。
- 自分は運が悪いほうだと思う
- できれば相手を怒らせたりイライラさせたくない
- いつも時間に追われている気がする
- 自分の問題は自分で解決したいほうである
- 人からの頼み事は断れない
- 困っている人がいると助けずにはいられない
- 相手の期待に応えられないと罪悪感がある
- 自分は周りの人間より劣っていると感じる
- 幸せと感じることが少ない
- 誰かに借りを作るのが嫌だ
- 人間関係の悩み事が多い
この質問で「YES」の数が多いほど共依存度が高いということになります。
夫婦で共依存度が高いとかなりヤバいですよ。
YESの数 | 共依存度 |
---|---|
0~3 | 共依存度は低いです。相手に依存せずに、自分の考えをしっかりと持ち、自己肯定感を持って生きているといえます。 |
4~7 | 共依存度ややあり。疲れの原因は自分が頑張りすぎていることではないですか?相手のためと思って頑張るのもいいですが、時には自分を労り心身を休めることも大切です。 |
8~11 | 共依存度が高いです。自分の生活に支障が出るほど、誰かのために一生懸命になっていませんか。自分のしていることが本当に相手のためになっているのか客観的に考える視点を持ちましょう。 |
危険な夫婦の共依存
夫婦が共依存の関係に陥ってしまうと、信頼関係や愛情が深い分、深刻な状態になりやすいです。
お互いの自立を妨げる
依存者(DV夫の例では妻)は、共依存者(DV夫の例では夫)に世話をしてもらっている限り、自分で物事を決めることができない心理状態になっています。
「殴られるのは私が悪いから」
「そんな私を養ってくれている」
「夫以外に私を受け入れてくれる人はいない」
そんな思考回路になってしまうので、暴力を肯定してしまいます。
逆に共依存者(DV夫側)は、自分に自信がなくコンプレックスや劣等感を持っている人が多く、「妻を養っている自分」だけが自分の存在価値と考えています。
つまり、「妻がいなくなること」が一番避けたいことであり、暴力によって支配し、服従関係を維持しようとしているのです。
そうなるとお互い悪い意味で「必要としている者同士」という関係になってしまうので、「この関係がいつまでも続けばいい」と思考停止してしまうのです。
これでは共依存関係は抜け出せません。
他人の人生に引きずられる
夫婦で共依存関係に陥ってしまうとお互いに
「夫なしでは生きていけない」
「妻だけが自分の存在価値を高めてくれる」
という「相手ありき」の物事の考え方になります。
本来夫婦と言えどもお互いに「自分の人生」に焦点を当てるべきで、自分の幸せのために結婚したり離婚したりするのです。
「相手ありき」では、いつまでたっても他人の人生に引きずられてしまい、自分の幸せを感じられなくなります。
共依存になりやすい人の特徴
以下のような特徴や性格の人は共依存になりやすいと考えられています。
自己肯定感が低い
自己肯定感とは「自分を認めているかどうか」です。「自分を好きかどうか」と考えてもいいでしょう。
自己肯定感が低い、つまり「自分を認めていない」人というのは、他人から自分の価値を見出そうとします。
「自分はダメな人間だけど、アルコール依存症の夫は私なしでは生きていけない」
というのは、自己肯定感が低い妻の考え方になります。
自分と相手の境界線が曖昧
本来相手に責任があるにもかかわらず、自分にも問題があったと捉えてしまう人は共依存になりやすいです。
「夫がアルコール依存症になったのは、お酒を買ってきた自分にも責任がある」
という考え方をしてしまうのは共依存になりやすいです。
アルコール依存症になったのは、夫が自分の意思でお酒を大量に飲んだだけなので妻に責任はありませんからね。
世話好き
困った人を助けたいという気持ちはとても大切なのですが、その動機が「相手から感謝されたい」「自分が必要と思われたい」
など、自分の存在価値を確認するためであれば、共依存になりやすいといえます。
相手をコントロールしたい
自分の考えを相手に押し付けようとする人は共依存になりやすいです。
自分の理想の人になってもらいたいあまり、相手の行動や考え方までコントロールしようとする人は、裏を返せば「自分に自信がなく、相手を支配する」ことで自分の存在価値を確認しているのです。
現実逃避しやすい
現実逃避しやすい人は共依存になりやすいです。
現実逃避は今まさに迫っている問題を直視せずに、先送りにしたり、責任転嫁や問題のすり替えをすることです。
例えば、友人に「暴力夫とは別れなさい」と言われた場合、「私に問題があるから」と責任転嫁したり、「私がしっかりすれば暴力もなくなるわ」という根拠のない期待感を持つ場合は危険です。
完璧主義の人
こうあるべきという理想がある人は共依存になりやすいです。
自分が持っている理想が高いと、劣等感やコンプレックスを持ちやすく自己肯定感が低くなってしまいます。
物事の捉え方が極端
物事を0か1、黒か白、善か悪のように両極端に考えてしまう人は共依存になりやすいです。
例えば「自分が正しい」と思って相手に献身的になる場合、必ずしもそれが相手のためになっているとは限りません。
逆に「自分が悪い」と思うと暴力も仕方ないと容認してしまう結果になります。
夫婦の共依存を克服する方法
DVやアルコール依存症など極端ではないにしろ、夫婦で共依存の傾向がある場合は考え方を改めるようにしたほうがいいでしょう。
共依存を自覚する
自分が共依存になっているかどうかを知るのは実は難しいです。
他人から「あなたたち夫婦は共依存じゃない?」と言われてもピンと来ないでしょう。
まずは自分自身の現状を考えることから始めましょう。
- 相手の提案を少し嫌でも受け入れてしまう
- 自分がやりたいことを後回しにしている
- 相手を怒らせないように先回りして気を遣っている
- 相手の幸せが自分の幸せだと思っている
これらは一見「良き妻」「良き夫」のように思えますが、共依存の疑いがあります。
「自分は共依存じゃない!」と強く否定するのではなく、「もしかしたら共依存の傾向があるのかも」くらいに思うことが大事です。
相手に決断させる
夫婦で共依存の関係にあると、相手の「ためになる」と思って世話をしてしまいます。
本来は夫自身が決めるべきことなのに、妻が勝手にコントロールしてしまうと、夫は考えなくなり妻に依存してしまいます。
- 夫の身体を思って料理を出す
- 夫のためと思ってサプリメントを飲ませる
- 夫の趣味に口出ししてしまう
- 夫が外出するときに付き添う
これらは「良い妻」っぽいのですが、問題は「夫の意見を聞いていない」ということです。
本来夫が決断すべきことを、妻が率先して行うと、夫は「自分が決めたことじゃない」という気持ちが生まれ、自分のことに責任を持たなくなります。
これらは夫の自立心や主張を妨げる行為になるので、共依存関係に陥りやすい行動です。
夫婦お互いが相手の意見を尊重して歩み寄るというのが本来の夫婦の姿です。
自分の望みを知る
共依存の傾向がある人は自分自身の満足感や幸福感を他人から得ようとしてしまいます。
「夫のために尽くしている私」にしか価値を見出せなくなるので、夫が思い通りにならないとストレスになったりします。
そうすると「もっと何とかしなきゃ」と相手をコントロールする方向に走ってしまいます。
共依存を克服するには「自分で自分を満たす」ということが大切です。
もし夫がいなかったとして、自分が幸福感を感じるにはどうすればいいのだろうか。そう考えることからスタートしましょう。
一人の時間を過ごし、一人で楽しめるものを見つけ、心を充実させることができれば、相手に依存せずに自分の人生を楽しむことができます。
心療内科に相談する
夫婦で共依存の関係の場合、夫婦の両方が心に問題を抱えている状態なので、なかなか二人で解決することが難しい場合もあります。
そういった時には心療内科や心理カウンセラーなどへ相談することも一つの方法です。
厚生労働省にも相談窓口案内がありますので、以下も参考にしてください。
>>全国の精神保健福祉センター一覧|メンタルヘルス|厚生労働省
共依存まとめ
暴力やアルコール依存症など、わかりやすい共依存もありますが、日常生活で第三者も気づかないような共依存関係も存在します。
今はうまくいっていても、その関係が続くと精神的な不調を感じていくこともあります。
自分やパートナーの性格などを客観的に見て、共依存の傾向がある場合には、徐々に相手への依存度を少なくしていくほうが心の健康のためにも良いでしょう。